侘び然び幽玄(わびさびゆうげん)のこころ ─西洋哲学を超える上位意識─
- 著者:森神逍遥
- 定価:1,600円(税別)
- ページ数:304ページ
- ISBN-13:9784434201424
- 発売日:2015/1/14
- サイズ:四六判上製本
- 発行:桜の花出版/発売:星雲社
わびさびは日本人の生きる哲学です
質素で孤絶の相である「侘び」、孤高で威厳を漂わせる「然(さ)び」―日本人が精神の支柱としてきた、わびさびを、現代に生きる哲学として、さらには、死生観、悟りの境へとつながるものとして捉え直した話題作。
「海外でも知られるWabi-Sabi」
「
日本人の世界観や、不完全なる美、また仏教の無常観と結びついたものと説明されています。
しかしながら、日本人である私たちは、果たして、「
この本を読めば、
世界に冠たる日本の精神文化の真髄を説き明かし、従来の学説に異論を投げかけた問題作です。
あなたは「侘び然び(侘び寂び)」について、説明できますか!?
真実の歴史は、下層の民衆たちによって創られてきたことを人びとは忘れてしまっている。曽てこんな「わびさび幽玄」本はなかった。
果たしてデカルトやカントにも勝る程の哲学性が有されているのか、その侘びの源流にも触れていく。
日本人の精神の支柱と言われながら、日本人の大半がその説明が出来ないという恥ずべき現実と「
これは日本人としてのアイデンティティを確立する為の必須の体験である!
目次
はじめに
序章
「わびさび」の本義
西洋と日本を対置せしめた「わびさび」の思想
「
日本人なのに「わびさび」が説明出来ない
百姓の面構え
第一章 侘び
「侘び」の世界
日本人を決定付けた梅雨の存在
「侘び」との出会い
「侘び」「幽玄」は太古からの営み
輪廻する四季
「侘び」への昇華
侘びの根本義としての「死」そして完成
「侘び」としての切腹
第二章 幽玄
陰陽の幽玄
家が果たした役割
陰性の幽玄
陰中に出現する陽性の幽玄
透き通る陽性の幽玄
陽中の陽たる幽玄
幽玄は黄泉の国への誘い
哲学としての幽玄
死の幽玄の姿
幽玄とは如何なる心情か
第三章 「わびさび」の語源
「侘び」について
動詞から名詞へ
字義語源
「
神さび翁さび少女さび
字義語源
第四章 ヨーロッパに於ける「
「陽性の侘び」との出会い
ミレーの夕暮れ
ヨーロッパの然び
ブルーノ・タウトの日本探訪
日本の礼讃者
レナード・コーレンの新潮流
日本人への失望
西洋哲学
デカルト・懐疑法より上位意識としての「侘び」
カント純粋理性批判の所与ア・プリオリの未熟
第五章 「
世界の「侘び」「
「侘び」は更年期を過ぎてから語れ
侘しい+ 微笑=侘び
貧しく清く簡素である「侘び」
否定的体験の再評価
独自の知的世界観
絶対感への昇華
侘び感と坐禅
海外での誤解
渋き「
侘びを背景とした
美意識の結晶
「
和歌の世界
第六章 「わび」「さび」と仏教思想
「侘び」「
武士の台頭が「侘び」を形成
中観の実践
空を悟らぬ者は侘びも捉えられず
釈迦の説法
中観と唯識
ただ「今」だけが存在すると説く唯識
依他起性
「空」概念の基本の把握法
執着が不幸を招く
「
俊成と芭蕉
「侘び茶」の矛盾
茶道の指導者たち
「千利休かあさかほの茶湯」
秀吉と利休の対立
権力志向の強かった利休
禅の影響
第七章 鈴木大拙の孤絶
大拙の悟り
鈴木大拙禅師が説く「侘び寂び」
鈴木大拙の境地
知識は悟りの妨げ
孤絶観と悟り
禅の立脚点
求道の世界観
「侘び」の超絶
本物の悟り
言葉で伝えられない真理
大拙の説く「侘び寂び」
大拙の侘び寂び観の限界
一休に始まる「侘び寂び」観
第八章 茶の始祖一休
「
一休の生涯
文化の黎明期
臨済宗の公案
一休禅師の悟り
俗に聖を見出し得なかった一休
色情に苦しむ姿
一休の迷い
一休の清貧
超人一休
混乱の時代を生きた一休
第九章 無常
誇るべき日本の精神文化
全てのものは枯れてゆくもの
茶の湯に「道」を取り入れた珠光
厳格な「
西洋的心理構造では悟れない
厳格さの喪失
無常俳人
芭蕉と山頭火
襲う空しさ
虚しき絶対感
一日のひとコマの凝縮
尽きることなき智慧
学ぶもの無しの境
第十章 侘びと悟り
己が人生の意味を問う
より高みを目指すべき侘びの精神
独りで生まれ独りで逝く
死に裏打ちされた生
十代で向き合うべき問い
日常への埋没という陥穽
悟りへ向かう意識
寂しさとは何か
絶望からの超越体験
「
無知は無学(悟り)への出発点
心の傲慢と虚飾を去る
代々伝わってきた侘び然び感
風情
風情があるとは
己の内に湧き出でる感性
戦後日本人の感性と思考
「わびさび」の完成
主な参考文献