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2020年10月

2020.10.18

『タオと宇宙原理』〈55〉第一章 量子仮説の大発見

 hνこれをプランクの「量子仮説」という。すなわち飛び飛びのエネルギーの間隔はhνであり、hνという「エネルギーの塊」を単位としてエネルギーの受け渡しが行なわれるとしたのである。この「エネルギーの塊」を「量子」と名付け、ここから量子力学が誕生することになった。量子力学とは飛び飛びのエネルギーの塊を研究する学問ということになる。これは光のエネルギーを粒子の集まりと捉えたもので物理学にとって時代を画す大発見であった。電気のもとである電子も同様の原理であることが後に発見され、現代エレクトロニクスを支える基盤となっている。コンピュータ等多くの場面でこの発見が用いられており、いまやこれなくして社会は成立しない。未来を築く量子コンピュータは将にプランクのこの大発見が礎となったのである。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 量子仮説の大発見)

2020.10.17

『タオと宇宙原理』〈54〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

◆量子仮説の大発見

 そして、プランクは自らが生み出した式のもつ意味を更に徹底的に考えぬき、一つの仮説を導き出したのである。それは光のエネルギーには最小単位が存在し、整数倍に不連続な飛び飛びの値を持つ、というものだった。

2020.10.16

『タオと宇宙原理』〈53〉第一章 マックス・プランクの功績

 黒体とは光の色と温度の関係を調べる黒い箱である。この箱に熱を加えると内部で光が放射と吸収を繰り返す。この光のスペクトルを温度ごとに調べていけば、ある温度でどんな振動数の光がどれだけの強さで含まれているかがわかる。

 プランクは、放射される光について説明の出来る公式を追い求めた。理論を考えては実験結果と照合し、合わなければ再び理論を組み立て直す。こうした試行錯誤を繰り返した結果、やがてプランクは一つの実験式に辿り着いた。 これがその実験式 E=hν である。

2020.10.15

『タオと宇宙原理』〈52〉第一章 量子論 マックス・プランクの功績

 その頃、ドイツ帝国は工業を盛んにしようと必死だった。工業には鉄の生産が欠かせない。溶鉱炉で生産される鉄の品質は正確な温度管理によって左右される。しかし、鉄が溶けるような数千度の温度を計測する温度計など存在しない。そのため多くの職人は鉄が焼ける色を目で見て温度を調節していた。職人の経験に頼っていた温度管理だったが、加えられる熱と鉄の出す光の関係を科学的に把握することは時代の要請でもあった。

2020.10.14

『タオと宇宙原理』〈51〉第一章 量子論 マックス・プランクの功績

 彼は、現代物理学、中でも量子力学を語る上では決して欠かせない人物である。学問上の業績だけではなく人格者としての生き方そのものが与えた影響も大きかった。アインシュタインの「相対性理論」もプランクの命名だったという。アインシュタインの光量子の発想もこのプランクのエネルギー量子の発想から導かれたものであった。

 マックス・プランクは一八五八年四月二十三日 ドイツのキールという町で生まれた。祖父は神学者、父親は法学教授、母親は牧師の娘という家庭環境の中で育った。その一生は物理学者としての偉大な歴史とは別に、妻と二人の娘は病や出産で早世し、長男は第一次大戦に従軍して戦死、自慢の次男エルヴィンも第二次大戦中、ヒトラー暗殺を計画したとして処刑されている。こうして、プランクは全ての家族を失うことになった。更に、思い出の家と論文もその全てを戦争で失うという壮絶な悲しみを背負う運命にあった。気難しそうに見えるプランクの風貌は、この悲しみを抱えていた。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 量子論 マックス・プランクの功績)

2020.10.13

『タオと宇宙原理』〈50〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

◆量子論 マックス・プランクの功績

 サイエンスチャンネル『偉人たちの夢』の及川わたる氏の解説を参考にするなら、プランクの画期的発見は次のようなものであった。

◆熱放射公式の構築◆

 時代が十九世紀から二十世紀に移る直前の一九〇〇年の秋、ベルリン大学物理学教授のマックス・プランクは放射熱に関する理論的追求の果てに思いもしなかった〈量子〉の世界の扉を開くことになった。物は熱せられると光を出す。どんな温度の時、どんな種類の光がどんな状態で分布するのか。この関係を調べるのが熱放射の研究である。プランクはすでに何年もこの研究に取り組んでいた。しかし、「光のエネルギーは最小単位の整数倍の値しかとれず不連続なものとなってしまう。そんな途方もないことがあり得るのだろうか?」

2020.10.12

『タオと宇宙原理』〈49〉第一章 宇宙の「人間原理」とは何か

 量子論は、一九〇〇年ドイツの物理学者マックス・プランクが「エネルギー量子仮説」を唱えたことに起因する。彼はそれまで信じられていたエネルギー伝導が連続的であるという考えを「不連続的」であると考え、原子のようにそれ以上分割できない最小単位として「エネルギー粒子」という画期的アイデアを開示したのである。そして、エネルギー粒子も原子のように一個二個という数え方が出来ることを示した。これが「量子仮説」というもので、ここから量子論がスタートすることになった。

2020.10.11

『タオと宇宙原理』〈48〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説

◆宇宙の「人間原理」とは何か

 初めてこの言葉を知ったとき、いったい物理学は何を言い出したのだろうと、いぶかしく思ったものだ。人文系の学問なら分かるがよりによって数式と実験で固められた物理学の世界で、人間の存在が宇宙を創った、という論の展開には唖然とさせられたものである。しかし、読めば読む程、科学者たちは本気でそう語っていることが分かり、更に驚いた。しかもその最初の発表は一九六一年であり、アメリカの物理学者ロバート・H・ディッケが書いた「宇宙の人間原理」の論文であった。

2020.10.10

『タオと宇宙原理』〈47〉第一章 刹那生滅

 「あなた」も「私」も実は不確かな存在であるのだ。せめてアニメのコマのレベルでしか存在していないことに気付くことが出来れば、その人はかなり優秀な識を持っていることになる。と言った途端、識なるものも存在することはない、と空(くう)じられるところが仏教の凄みである。何であれ、かくの如く、仏教哲理は物理学を凌駕(りょうが)している。

 この仏教哲学は将に現代物理学とまったく一致するものであり、宗教でありながらここまで極めてきた仏教の凄みを見せつけられる思いである。それ故に物理学に人間原理が出てきたくらいでは仏教哲学には未だ及ばない。これらについては六章にて「三世実有法体恒有」と題して、更に詳しく述べている。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 刹那生滅)

2020.10.09

『タオと宇宙原理』〈46〉第一章 刹那生滅

 仏教は、この世を無常と捉えていて、一時たりとも永続するものではないと説くのである。我々の今である現在が錯覚的に「生」と認識され、次の刹那には完全な無となり消滅し、これを繰り返すことで、恰も永続しているかの如き感覚を我々は持つのである。迷いの世界であるこの世の法則である有為法(ういほう)が一刹那のみ今現在に出現し、即時に消滅して過去へと移り変化することを意味する。