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2020.10.15
『タオと宇宙原理』〈52〉第一章 量子論 マックス・プランクの功績
その頃、ドイツ帝国は工業を盛んにしようと必死だった。工業には鉄の生産が欠かせない。溶鉱炉で生産される鉄の品質は正確な温度管理によって左右される。しかし、鉄が溶けるような数千度の温度を計測する温度計など存在しない。そのため多くの職人は鉄が焼ける色を目で見て温度を調節していた。職人の経験に頼っていた温度管理だったが、加えられる熱と鉄の出す光の関係を科学的に把握することは時代の要請でもあった。
そこでプランクが当時一番力を入れたのは熱に関する研究だった。
物は熱せられると光を出すが、人間はその光を色として認識する。この光は、熱輻射(ねつふくしゃ)または熱放射と呼ばれている。一八九〇年代後半からプランクはこの熱放射の研究に本格的に取り組んだ。
この研究には黒体(こくたい)という実験装置が使われた。
(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 量子論 マックス・プランクの功績)