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2020.10.12

『タオと宇宙原理』〈49〉第一章 宇宙の「人間原理」とは何か

 量子論は、一九〇〇年ドイツの物理学者マックス・プランクが「エネルギー量子仮説」を唱えたことに起因する。彼はそれまで信じられていたエネルギー伝導が連続的であるという考えを「不連続的」であると考え、原子のようにそれ以上分割できない最小単位として「エネルギー粒子」という画期的アイデアを開示したのである。そして、エネルギー粒子も原子のように一個二個という数え方が出来ることを示した。これが「量子仮説」というもので、ここから量子論がスタートすることになった。

 この直観が、それから百年の劇的幕開けであった。奇跡の年と言われる一九〇五年に、この考え方に大きな影響を受けた二十六歳の若き天才アインシュタインが光量子理論を導き、原子の存在や、更に特殊相対性理論を発表するに到り、時代は大きく宇宙の解明へと突入したのである。そして、インド仏教が二千五百年前から唱え続けてきた刹那生滅を明らかとしていくことになる。ではここで、量子の概念を理解してもらうために、プランクの功績を見ながら説明しよう。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 宇宙の「人間原理」とは何か)