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2020.10.09
『タオと宇宙原理』〈46〉第一章 刹那生滅
仏教は、この世を無常と捉えていて、一時たりとも永続するものではないと説くのである。我々の今である現在が錯覚的に「生」と認識され、次の刹那には完全な無となり消滅し、これを繰り返すことで、恰も永続しているかの如き感覚を我々は持つのである。迷いの世界であるこの世の法則である有為法(ういほう)が一刹那のみ今現在に出現し、即時に消滅して過去へと移り変化することを意味する。
それは恰(あたか)もアニメのコマ送りと同様である。一コマは一枚の静止画像であるが、それが何十枚、何百枚、何千枚、何万枚と連続することで動きが与えられ、生きた絵と変身するのである。それにセリフが吹き込まれると完全な擬人化がなされることになる。実は人間もこれとまったく同じ構造だと考えているのが仏教なのである。このような宗教は他に存在しない。更に仏教が凄いことは、この連続体の存在性を認めないことである。物理学はまだ子どもじみてそれを追い求めているが、二千五百年前にすでに仏陀は禅定によってこの存在を錯覚と読み取るだけの感覚を身に付け、潜在する本性(法身(ほっしん))が覚醒し最終解脱されたのである。
(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 刹那生滅)