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2020.10.03
『タオと宇宙原理』〈40〉第一章 「空」―絶対性の否定
空(くう)は「この世界」における究極の法(ダルマ)(原理)である。
その意味で、仏教が説く救いの境地「涅槃(ニルヴァーナ)」は、他宗教と比べ圧倒的に奇妙な概念である。ほとんどの宗教が説くところの天国を意味していないからである。浄土宗などで説かれる浄土や極楽の概念は、明らかに無知な信者向けに語られたものであって、仏陀が説いたニルヴァーナはそのようなものではない。それは非存在なるものであるのだ。それは一切の概念を受け付けない〝不可解な概念〟〝不可解な場〟なのである。それは後章で語る「無」に於けるエネルギーや「ゆらぎ」と関係していると筆者は解している。
その法性(ほっしょう)こそが空の姿であり、この世にあっては相依性としてエネルギーの転移としての関係性のみを指すのである。これを縁起(縁(よ)って起(お)こる)という。仏教は一切の存在に自性を認めないこと、つまり一切のものは存在していないことを公理としているのである。
(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 「空」―絶対性の否定)