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2020.09.13
『タオと宇宙原理』〈20〉第一章 思考優位型の傾向と過(あやま)ち
彼らのような思考優位型の特徴として他者との協調性の欠如が挙げられる。また、情報を自分一人のものとして他者へ譲り渡すことを頑なに拒む無意識が内在する。それは、自己保全の為の自己同一を強化する手段として用いられる。だが、本人がそのことに気付いてそうしているわけではない。彼らはそうするしか自己を保持することが出来ないのである。その結果、自己過信となり成功者タイプは一層の傲慢性を発揮し一切の価値を単なる知識に依存し、それをもって全てとして物事を判断して、自己の見解に固執しそれに反する者を糾弾する。決して冷静に論証するのではなく、激烈に感情的となり反対の為の反対に陥るのである。
それは、直観的に理解する能力に於いて劣っていることを知られないためでもある。こう述べるとそもそも直観なるものが信用できないとの反論がある。その通りである。物理学者の仮説同様にその大半は誤りである。しかし、最後の正しい解もこの直観が導くことは誰もが認めるところだ。また戦地などの死地に於いて、日頃から直観に優れた決断力のある指揮官が、理詰めだけで考えている指令官よりもよい結果、すなわち部下を救い出した例の方を多く耳にするが如きである。歴史の英雄とは実にこの直観力に優れた者であった。この思考優位型人間の弱点を認識した上で、このことは考える必要がある。
(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 思考優位型の攻撃性)