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2020.08.27

『タオと宇宙原理』〈3〉第一章 ◆意識とは何か

 哲学者のデイヴィッド・チャーマーズは、意識について、物理学で基本構成単位として用いる空間や時間や質量などと同様の自然を構成する基本要素のひとつと仮定している。この考えは、古代ギリシャの時代からあるもので、むしろそれが当たり前だったのだが、哲学者にして数学者だったデカルトの物心二元論が登場して以降、科学が発達するに伴い、いつの間にか唯物主義に席捲された学者の大半は意識も単なる原子の寄せ集めと考えるようになり、意識の深淵について一切触れようとしなくなった。哲学を差し措(お)いて意識を単なる偶然の産物以上のものではないとしてしまったのだ。その結果、それまで人類が築いてきた一切の価値を否定し、ニヒリズムへと陥ってしまったのである。

(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 意識とは何か)