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2020.08.25
『タオと宇宙原理』〈1〉第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説
9月中旬に刊行する『タオと宇宙原理』の第一章の内容をご紹介する。
◆意識とは何か
我々の意識とは何だろうか。「我」とは意識そのものだが、その意識がどこから来るのかは未だ誰も知らない。脳生理学者は脳内ネットワークが作り出したものにすぎないと言うが、果たしてそうだろうか。確かにそれは一面の真実ではあるが、その主観性が客観として存在し得るだけの説得力をもって脳に依存するという答えの不確かさに、誰しもが疑問を持っているものだ。全ての存在は還元すれば原子に辿り着く。更に、原子を構成する核子(陽子と中性子)や電子、更には核子を構成するクォークなどの素粒子の原理は量子論として理解され、存在の否定の解を導いている(詳細は四章以降に)。結論から言えば、生滅を繰り返す(つまりは固定的存在性が否定される)量子が「私」を形成している以上その「私」も固定的存在性が否定されるということになる。更には、「私」の意識の有意性について改めて議論の余地を残すことになる。すなわち、この意識を存在せずとして否定するのか、あるいは独自存在として肯定するのかという問題が発生する。哲学はこの問題を二千五百年にわたって議論し続けてきた。
(『タオと宇宙原理』第一章 意識と科学 古代の叡智と量子仮説 意識とは何か)